祭りの後、夏休みの終わり

ひと月ほど前、夏も終わりだと思いながら岩井俊二監督(1993年)の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(45分間)の期間限定公開をオンラインでみました。この映画のタイトルには、妙に惹かれます。小学生の夏休み、少年たちが花火大会の日に、打ち上げられた花火を横から見るとどんな形をしているのかと、打ち上げが行われる会場から離れた灯台まで行って確かめるという、ちょっとした冒険物語です。それに、母親が再婚するという大人の都合で引っ越すことになった主人公の及川なずなが、同級生の島田典道を誘って家出するという、大人への意義申し立の物語としての一面もあります。

この映画を見て、小学生の頃、毎年夏休み見に行っていた花火大会のことを思い出しました。夏恒例で、海辺の広場や防波堤などから花火が打ち上げられます。その翌朝早く、同じ海辺を散歩した時のことです。広場のあちらこちらに、野球のボールほどのサイズの丸められた段ボール片が散らばっていて、海にも浮かんでいるのを目にしました。それは、花火の火薬を包んでいた外側の硬い紙でした。初めてみる光景に、驚きましたが、花火大会という祭りのタネあかしでも見せてもらったような新鮮な気分でした。とはいえ、花火のきれいな色合いも大勢の人のにぎわいもなく、散らかし放題になっている広場の後片付けが行われていて、祭りは終わったんだなあ、とちょっとした淋しさも感じました。

また、このような光景は、「メイキング」や「バックステージツアー」として、表立って舞台裏を見せてくれる動画のことを思い出します。見せるためのものでもあるので、これは裏ではなく表じゃないか?という気もします。それでもメイキングを見るのは楽しいもので、例えば、2002年のDrink! SMAPのライブDVDにはバックステージツアーが収録されていて、一時期ハマってみていました。5万人ほどは収容できるドームのアリーナに延びた細長いステージの下に張り巡らされた通路を移動する様子や、ステージに飛び出してくる仕組み、バックダンサーの人たちがステージ裏でSMAPや観客と一緒になって歌っている様子など、華やかなステージの背景を知ることができるビデオです。

物事は、どこからみるかによって異なってみえたり、広がりを感じたりすることは、とても興味深いことだと思います。

花火大会もライブもある意味では祭りと言えそうですが、祭りが終わって、日常へと戻っていく過程も味わい深いものだと感じています。こんなことを書いているうちに、大学生も夏休みが終わって来週からは後期が始まるのでキャンパスに戻ってきます。すると、大学全体が活気を取り戻します。こんなふうに「夏休み」を強調したように書いていると、大学生から、8月、9月と学校体験や教育実習も実施されているので、フルに夏休み気分でいたわけではありませんよ、とか、ずっと大学の図書館で勉強していたのでキャンパスにいました、と指摘を受けそうです。

どんな夏休みを大学生が過ごしてきたのか楽しみにして、私も後期を迎えたいと思います。